こんにちは、natsuです。
東野圭吾作品はいくつかシリーズ化されていますが、その中でも有名なのは、加賀恭一郎シリーズとガリレオシリーズです。今回は加賀恭一郎シリーズの代表作とも言える『新参者』を熱く語っていきたいと思います。
『新参者』は、原作小説とテレビドラマがありますが、どちらもおすすめです!
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加賀恭一郎シリーズの入門に『新参者』が最高である理由
『新参者』という作品から、加賀が日本橋署へ異動になるからです。
『新参者』というタイトルは、刑事として新参者であるわけではなく、日本橋署の刑事として新参者であるという意味です。
作品内でも加賀が「新参者ですから」という発言をしていることも物語っています。新参者として、加賀は人形町という町を知ろうと、自分の足を使って歩きます。歩いてどこにどんなお店があるか、どんな商品を売っているのか、お店の人はどんな人なのかということを知っていきます。同じ店にも何度も何度も訪れます。
当然、お店の人にも、「また来たのか・・・」とウザがられることも多いです。でも、何度も何度もくる加賀の姿を見て、相手の気持ちも変化していきます。一言で言うと、加賀はとんでもなくおせっかいな刑事です。
冒頭で、一人暮らしの女性(三井峯子)がアパートの一室で絞殺されるところから物語は始まります。
事件に直接関係ない人々のわだかまりまでもを解決する男
加賀はとんでもなくおせっかいな刑事であるということを裏付けるエピソードを、第3章『瀬戸物屋の嫁』から一つ紹介します。
・柳沢鈴江:老舗の瀬戸物屋を営む。年を重ね硬いものが食べにくくなってきた
・尚哉:鈴江の息子、優柔不断で女性に強く言えない
・麻紀:昨年嫁いできた尚哉の嫁、キティちゃんが好き
・三井峯子:被害者
【背景】
麻紀が働いていたキャバクラに尚哉が通ったことで二人は出会い結婚。瀬戸物屋の奥で、鈴江・尚哉・麻紀の3人暮らしが始まります。
しかし、鈴江と麻紀はとにかくそりが合わず、会話する時もめったに目を合わせません。尚哉はその女性2人に挟まれるどっちつかずの状態です。
【加賀とのやりとり】
被害者(三井峯子)が殺される数日前、麻紀に頼まれてキッチンバサミを購入していた事実が判明し、加賀が瀬戸物屋へ来店します。しかし、麻紀はなぜかその理由を隠そうとします。
加賀が執拗な聞き込みで明らかにした真相は、驚くべきものでした。
- 麻紀は、歯が悪くなった鈴江が旅行先で名物の鮑を楽しめるように、こっそり食用バサミを準備していた
- 鈴江は、麻紀がキティちゃん好きだと知っており、旅先のパンフレットのご当地キティちゃんに赤丸をつけていた
口では色々言い合いながらも、心の中ではお互いを思いやっていたことがわかり、この3人の関係性は大きく改善していきます。
結局、このキッチンバサミは犯人につながる手がかりとは全く無関係でした。それでも、関係者の心のしこりが解けるまで徹底的に事実を追求する加賀の姿に、私はさらに加賀愛が強まりました。
人形町を歩き回り、地道な聞き込みでパズルを完成させる快感
ここでは第4章 『時計屋の娘』の中でのお話です。
・寺田玄一:寺田時計店の店主。妻(志摩子)と娘(香苗)がいる。
・米岡彰文:玄一の助手。
・ドン吉:玄一が飼う柴犬。8歳。
・三井峯子:被害者
玄一は加賀に、6/10の夕方6時頃、ドン吉の散歩の途中に浜町公園で三井峯子に会ったと伝える。
再度加賀がやってきて、「三井峯子さんに会ったのは本当に浜町公園か」と再度質問にくる。間違いないと玄一は回答。散歩からの帰りは19時頃であったことを伝える。
再度加賀が訪れる。玄一は不在。加賀は彰文に「散歩に付き合わせて欲しい」と伝えドン吉の散歩へ。
途中でドン吉が止まりきょろきょろと迷うようなそぶりを見せる。その後浜町公園に到着。
以下2点を加賀は彰文に共有する
・6/10夕方6時頃浜町公園で三井峯子さんを見かけた証言が玄一以外からとれないこと
「今、帰ってきたところです。いつもの広場で子犬の頭を撫でていたら、今日も時計屋さんに会いました。お互いマメですね。と笑い合いました」
新参者より引用
という三井峯子の書きかけのメールも見せる。
彰文は加賀に玄一の娘のことを伝える
・香苗は高校を卒業後、すぐに男と一緒になると家を出た。
・そのことが原因で玄一は香苗を勘当したが、志摩子は香苗が住んでいる場所を知っている。
散歩の帰り際の18時半頃、自宅のそばで志摩子がタクシーの後部座席右側から降りてくるのを見つける。両手にはデパートの袋があった。
・再度加賀が訪れる。玄一はドン吉の散歩で不在。浜町公園で彰文に話したことを志摩子にも伝える。
・昨日の帰り時間は18時半だが、2日前に玄一は、帰りは19時くらいだったと加賀に伝えている。30分もの差はおかしい。玄一はどこか寄り道をしていることになる。
・また浜町公園で三井峯子さんを見た証言もないことから、三井峯子と玄一があったのもその寄り道先ということになる。
・その寄り道先もは事件とは無関係だが、加賀は調査済み。
・娘の香苗は妊娠している。昨日のデパートでの買い物も娘と一緒だった。後部座席の右側に志摩子が座っていたことから、後部座席左側に誰かいたことを加賀が推察。また、実際にデパートのベビー用品展売り場で聞き込みをすると、二人のことを覚えている店員がいたことで裏付けも済んでいる。そこで娘の妊娠を確信した。
・散歩の途中でドン吉が迷うそぶりを見せたことから、ここ最近散歩コースを変えていることも推察。実際に別の方向へ行ってみると、水天宮があった。
・書きかけのメールの内容が判明する
- いつもの広場 → 水天宮の境内
- 子犬の頭 → 子宝いぬの銅像
・以上のことから、玄一は香苗が妊娠していることを知っている。という事実を志摩子と彰文と確認。だが、
「どうか今日の話は聞かなかったことにしてもらえませんか。ご主人のささやかな秘密を壊したくないのです」
新参者より引用
と加賀は言った。
『新参者』が他のミステリーと一線を画す3つの見どころ
① 事件に関わる全員がついていた「優しいウソ」
上記で紹介した2つのお話のように、この作品では誰かが誰かを庇うために「ウソ」をつきます。
ドラマ版でも毎回「人は嘘をつく」というキーワードが登場します。
加賀の凄さは、このウソを見破った後です。本人に突きつけて「犯人はあなただ!」と責め立てることは絶対にしません。頭ごなしに言うのではなく、過ちに自分で気づかせ、心を救済するのです。
また、後半に出てくる加賀の上司の過去も見どころです。「大人がついたウソを見て子供は育つ」。このテーマは後の作品『麒麟の翼』にも繋がる重要なメッセージとなっています。
② 1章(1話)ごとに1つの謎が解ける抜群の読みやすさ
『新参者』は9つの章に分かれていますが、それぞれ1章ごとに謎が解けていきます。
冒頭で三井峯子が殺害されます。その犯人を探るため、被害者の所持品、立ち寄った場所、電話をかけた相手、メールの内容などをもとに関係者に聞き込みに行きます。その関係者ごとに、ドラマがあるんです。そのドラマを一章ごとに紐解いていき、その関係者が救われていきます。
冒頭で殺人が起こり、それを解決するために謎解きをするが、一向に犯人が捕まらない。という謎解きをする人にのみフォーカスした小説は多いです。
それだと、見てる方は「まだなの?」「全然進んでなくない?」「いつになったら犯人に近づけるの?」と疲れてしまいますし、中弛みします。最悪、最後まで読むことなく本を閉じてしまうこともあると思います。
ですが、新参者は、加賀恭一郎だけにフォーカスしてるわけではなく、その周辺の人間にもかなりフォーカスしているので、1章ごとに、スッキリします。なので、疲れません。読書初心者にも本当におすすめです。
③ 阿部寛さんがハマり役!ドラマ版と原作の圧倒的な満足感
原作も本当に素晴らしいですが、またテレビドラマ版も素晴らしいです!
テレビドラマは2011年4月〜6月に放送されていたので、約15年前になります。阿部寛さんの加賀恭一郎も素晴らしいですが、周りの俳優さんも見どころたっぷりです。今も第一線で活躍されている俳優さんたちをたくさん見れるのも楽しみの一つです。
【比較】Amazonプライム(ドラマ)と原作小説、どちらから入るべき?
私は小説から入るのがおすすめです。
ドラマ版を先に見ると、演じているその人がもう脳裏に浮かんできて、ちょっと決めつけるというか、視野が狭くなる感じがします。
映像を見ていない状態で、小説から入ると、加賀恭一郎は流石に脳裏に浮かぶかもしれませんが、それ以外の登場人物は、まっさらな脳内で文字だけの情報から登場人物を作り上げることができます。私はそれが楽しいです。実際、小説を読んでからドラマをみたので、あの役はこの人なんだー。と、自分が思ってたキャラクターとのギャップを一人で楽しんだ記憶があります。
ただ、楽しみ方はひとそれぞれ!どちらから入っても必ず楽しめます!
| メディア | こんな人におすすめ | 特徴・メリット |
|---|---|---|
| 原作小説(文庫本) | 登場人物の細かい心理描写を味わいたい人 | ・各章の視点が変わり、加賀の観察眼や思考プロセスをじっくり追体験できる ・キャラクターを脳内で想像できる |
| ドラマ版(Amazonプライム) | 映像で手軽にサクッと楽しみたい人 | 阿部寛主演。人形町の情景と豪華キャストの演技で一気に引き込まれる |
じっくり活字でキャラクターを想像したい方は文庫本で
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まとめ:事件解決の先にある「温かい救い」を体験しよう
『新参者』は、単に犯人を突き止めて終わりというミステリーではありません。事件の陰に隠された人間関係のもつれや、登場人物たちがついた「優しいウソ」を加賀恭一郎が一つひとつ解き明かし、傷ついた人々を救っていく温かい物語です。
「普通の刑事ドラマやミステリーには少し飽きてしまった」「最後に心が温かくなる作品に触れたい」という方にこそ、心からおすすめしたい名作です。
活字で加賀の思考プロセスをじっくり味わいたい方は文庫本を、阿部寛さんをはじめとする豪華キャストの圧倒的な演技で一気に世界観に浸りたい方は、ぜひAmazonプライムビデオの30日間無料体験を活用してご覧ください!
『新参者』の舞台人形町周辺には、今も作品の世界観が色濃く残っています。実際に見たいと思われる方はこちらの記事を参考にして下さい。

祈りの幕が下りる時の巡礼はこちら



