そしてバトンは渡された感想レビュー!親になって明日が2つになる幸せ

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本屋さんで平置きされていたことから読み始めた「そして、バトンは渡された
一言でこころがほっこりあたたかくなる作品です。
そして、泣きました。難しい言葉も全くなく、流れもとてもわかりやすいので、本を読むのが苦手という方や、文字を読むのが得意でないという方にもおすすめです。
そんな「そして、バトンは渡された」を読んだ感想を書きました。

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目次

「そして、バトンは渡された」あらすじ

幼い頃に母親を亡くし、父とも海外赴任を機に別れ、継母を選んだ優子。
その後も大人の都合に振り回され、高校生の今は二十歳しか離れていない〝父〟と暮らす。
血の繋がらない親の間をリレーされながらも、出逢う家族皆に愛情をいっぱい注がれてきた彼女自身が伴侶を持つとき――。
大絶賛の2019年本屋大賞受賞作。

「そして、バトンは渡された」著者 瀬尾まいこさんについて

1974年大阪府生まれ。大谷女子大学文学部国文学科卒業。2001年「卵の緒」で坊っちゃん文学賞大賞を受賞し、翌年、単行本『卵の緒』でデビュー。05年「幸福な食卓』で吉川英治文学新人賞を、09年「戸村飯店 青春100連発』で平田譲治文学賞を、19年『そして、バトンは渡された』で本屋大賞を受賞。

他の著書に『天国はまだ遠く」「優しい音楽』『強運の持ち主』「温室デイズ』『見えない誰かと』『ありがとう、さようなら」『僕の明日を照らして』『おしまいのデート』『僕らのごはんは明日で待ってる』『あと少し、もう少し』「春、戻る」『傑作はまだ』『夜明けのすべて』などがある。

「そして、バトンは渡された」の感想

最近、ニュースをテレビで見ていると、実の親が我が子に手をあげてしまう悲しい事件を目にすることがあります。「将来を悲観して」「生活が苦しくて」……そんな大人の身勝手な理由を聞くたびに、子どもには子どもの人生があるのに、とやるせない気持ちになります。

そんな、どこか冷えて殺伐とした世の中だからこそ、どうしても読んでほしい一冊があります。
瀬尾まい子さんの小説『そしてバトンは渡された』。

読み終わったあとに残るのは、一言、とにかく「あったかい」という感情。
世間一般的には“不幸”や“負のイベント”とされる出来事を、これほどまでにプラスの温かい感情に変えてくれるのかと、良い意味で裏切られる名作です。

名字(苗字)が7回変わった彼女の、とんでもない第一声

主人公の優子には、父親が三人、母親が二人います。

「私には父親が三人、母親が二人いる。家族の形態は、十七年間で七回も変わった。」

そしてバトンは渡されたより引用

私自身、親が変わったことも、苗字が変わったこともありません。よくある漫画や小説でも、親の離婚で苗字が変わるシーンはどこか気まずく、マイナスの感情として描かれることが多いですよね。 だから私も、優子の背景を読んだ瞬間は「7回も環境が変わるなんて、大変。かわいそう……」という感情が真っ先に出てきました。

しかし、第1章の1行目を読んだ瞬間、その偏見は見事にひっくり返されます。

「困った。全然不幸ではないのだ。少しでも厄介なことや困難を抱えていればいいのだけど、適当なものは見当たらない。いつものことながら、この状況に申し訳なくなってしまう。」

そしてバトンは渡されたより引用

不幸でなくて困るなんて人、普通はいませんよね。
なぜ、彼女はこれほど複雑な環境で「全然不幸ではない」と言い切れるのか。
その理由が、物語を読み進めるうちに愛おしいほど分かっていくのです。
優子の親になった大人たちはみんな、優子のことが大切で大切でしょうがなかったからでした。

言葉よりも心を伝える「手料理」と「スイーツ」

作中では、血の繋がらない親たちの不器用な愛が、たくさんの「食べ物」を通して描かれます。
特に、お父さんの一人である森宮さんが優子のために作る料理たちが、本当にいい仕事をしているんです。

  • お腹が空いたと言っていないのに、夕食から2時間しか経っていないのに出てくる夜食のうどん。
  • 朝から豪快なカツ丼
  • 2日連続の餃子
  • そして長文メッセージがケチャップで書かれたオムライス。

ちょっとズレていて、真剣に悩んでいるのがバカらしくなるほどピントが外れている森宮さん。
でも、会話だけだとうまくいかないことも、心がこもった手料理から伝わることがあるんだと、彼のご飯を見ていると気づかされます。

そして、家族の潤滑油として登場する「スイーツ」も欠かせない名脇役。 ちょっとギクシャクして話しにくい時も、「スイーツ食べよ!」「スイーツ買ってきたよ!」というやりとりが、心の扉を開く最高の会話の糸口になってくれるのです。

「子どもへの思いは少しも薄められない」溢れる親たちのバトン

優子を育てた親たちの言葉には、綺麗事ではない、本物の愛が溢れています。

優子のお母さんになることを選んだ梨花さん。彼女は優子を失うのが不安で、実の父親に会わせることができませんでした。でも、自分が母親を辞めよう(バトンを渡そう)と決心した時、こう語ります。

「離れたって、自分に新しい家族ができたって、子どもに対する思いは少しも薄められないって。」

そしてバトンは渡されたより引用

梨花さんが優子を失いたくないと葛藤する気持ちが痛いほど伝わってきて、ここは涙なしには読めません。

そして、バトンを受け継いだ森宮さんの言葉も、私の心に深く突き刺さりました。 彼は「人である前に、男である前に、父親だからね」と言い、優子の父親になれることを「なんか得した気分」と笑うのです。子どもだったら、こんな風に言ってもらえたら絶対に嬉しいですよね。

何より、彼が語った「親になること」の定義が、私は大好きです。

「親になるって、未来が二倍以上になることだよって。明日が二つにできるなんて、すごいと思わない?(中略)自分以外の未来に手が触れられる毎日を手放すなんて、俺は考えられない。」

そしてバトンは渡されたより引用

明日が二つになる」――。 これは、親という立場でしか絶対に味わえない、特別で尊い体験です。私にも娘がいますが、娘と接することで、自分のシール集めや可愛い文房具集めに熱中していた過去を振り返り、どこか安心させてもらうことがよくあります。

彼らは決して「義務」や「子どものために自分を犠牲にする」という価値観で動いていません。
本当に「優子の親でいられることが、自分がただ嬉しい」と思っているのです そんな温かい愛のバトンの中で育ったからこそ、優子のあの「困った。全然不幸ではないのだ」という言葉に繋がったのだと、深く腑に落ちました。

この世界が「バトン」の心で満たされるなら

世の中には、子どもとの関係に悩んでいる親御さん、実の子ではない子との生活に葛藤している人、あるいは日々の育児で子どもにイライラしてしまう親御さんもたくさんいると思います。生きることに、少し疲れてしまった人も。

そんな人たちにこそ、この本をそっと開いてみてほしいです。

この小説に出てくるような、相手を愛することが自分の幸せになるような心を持った人間ばかりの世界になれば、あの悲しいニュースは確実になくなるのに。

血の繋がりを超えた、あまりにもあったかい家族のつながりを、ぜひあなたも体験してみてください。

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この記事を書いた人

神奈川県内のキャンプ場の情報と、本のことについて発信しています。今まで何十年とせかせか忙しなく生きてきましたが、一旦落ち着いてゆったりとした気分で自分と向き合っている最中です。

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